コミュの仕立て屋さん ~表現のお直し 承ります~

「ナイス表現!」とかを拾っていったり考えたりするブログ

うちのヨシヒコは昇進したがらない

コミュニケーションインストラクターとして活躍をされている山田ズーニーさんが、こんなお話をされていた。

 

 

 

この文章を拝読して、わたしは職場の後輩のことを思い出した。ちょっとその話を聞いてもらいたい。

 

 

 

 

 

…後輩の名前はヨシヒコとしておく。現在25歳で今の会社に新卒で入社して3年目になる。

 

 

彼は高校生の時に部活動の野球部に打ち込み、大学は理系の学部を卒業。就職活動は教員となって理系科目を教えながら野球部の顧問になるか、もしくは専門技術の交通工学的なのを学んだのでそれを活かした就職にするかで悩んでいた(文系の私が内容を聞いてもぜんぜんわからなかった)。

 

結論はその間をとって現在の学習塾運営の企業に就職することにした。今の仕事なら高校生の相手をしながら物理や数学を教えることもできるので悪くない選択肢だったのだと思う。

 

なにより人の情を重んじる人で、今の会社は就職活動で一番最初に受けた会社らしく、ずっと教員か技術職かの2択で悩んでいる中で「内定がもらえたなら何かがあるんだろう」と深く考えないで決意したそうだ。

 

彼を採用してうちの会社は大正解だと思っている。

 

 

 

そんなヨシヒコは、昇進をしたがらない。

・校舎運営に求められる管理能力がある。

・生徒と会社の双方を意志を汲み取ることが出来る。会話力もそこそこある。

・汲み取った結果、双方が満足できる解決策を提案できるし、実行も出来る。

・おまけにイケメン、マダムとのやりとりは大したものである。

・酒が好きすぎるので、飲んだ翌日は声が変になることが玉にキズくらいだ。

 

 

しかし、彼は一つの校舎の責任者、世に言う塾長や校舎長というポジションになりたくないと言っている。

 

 

うちの会社の新卒教育の責任者に聞いたのだが、最近の〝若い人〟はお金や昇進というよりも私生活を重視しているようだ。「定時に帰りたいので残業ありきの管理職にはつきたくありません」といった具合である。どうやら巷で話題の社会現象はうちの会社にも及んでいたらしい。

 

 

それはそれでいいんじゃないかと思う。良くは知らないが独身なら困らない程度の給料はもらえているのだろうし、友達とも遊びに行きたいのだろうし、むしろライフステージや経験が増えても同じ考えでいられるなら大したものだと思う。

 

 

悔しいのはヨシヒコが最近の〝若い人〟と同じ括りにされていることだ。ヨシヒコが昇進試験を受けないだけで、管理職は目に見えるヨシヒコの在り方だけでしか判断をしてくれていない。

 

 

ヨシヒコはいつまでも教える側でいたいのだ。責任を取りたくない訳でもない。昇進することで生徒との接点が少なくなるならば、彼にとってここで働く意味がないのだ。

 

 

彼は自分にとっての〝働くこと〟の答えを見出しているし、惰性や自己野心で昇進試験を受けない分、ひょっとすると〝若くない人〟よりもしっかりと慮っているのでは、と焦らされてしまうくらいだ。言っておくと、彼は特別に偏差値の高い大学を出ているわけでも無い。

 

 

 

となれば、こちら側の伝え方の問題なのではないか、と思う。

 

 

 

ピーマン嫌いの子どもにピーマンをそのまま出して受け入れてくれるだろうか。

ピーマンは体に良いんだよ、と語ったらピーマンを好きになるだろうか。

ピーマン食べないんだったら家から出ていきなさい!と言ったらヨシヒコは自分の足で本当に出ていくのではないだろうか。

 

 

 

その立場にならないと見えない風景がある。まだその立場ではないヨシヒコを動かすには、その風景のすばらしさではなく、その風景が見えたときどんな感想を持つだろうか、その答えに関心を持ってもらうように説明をすることなのでは、と考えた。

 

 

しかし、ヨシヒコという山は大きいのである。

 

 

 

 

 

 

わたしのように悩んでいる方は、どのように〝若い人〟と接しているのだろうか。